「教育費負担と奨学金制度の在り方に関する調査」(2017年度)

 本研究室では、2017年に、日本学術振興会 科学研究費『社会的支持・合意範囲の実証を通じた教育費負担と教育費負担軽減制度の在り方の研究』(基盤研究C・課題番号15K0434)の助成を受けて、「東京都」と「青森県」の2つの地域を対象にした「教育費負担と奨学金制度に関するアンケート調査」を実施しました(1)
 この調査は、日本では高校卒業者の7割が大学もしくは専門学校に進学する一方で、大学では授業料が、年間50万円から150万円程度かかる現実のなかで、大学等の教育費負担や奨学金制度についてのどのようにとらえられているか、一般市民・高校関係者・自治体責任者について尋ねることで、多角的に検討し、今後の改善の方策を提言することを目的としたものです。
 3つの調査の集計結果を掲載します。本研究室では、現在、これらの結果の分析を進めています。

(1)青森県・東京都の一般市民を対象とするアンケート調査(社会調査)

 調査期間:2017年1月~2月
 調査方法:青森県・東京都を対象地域とし、住民基本台帳により層化二段階方式で抽出
 送付件数:2,000件(青森県・東京都 各1,000件)
 回答数・回答率:587件(青森県296件・東京都291件)・29.4%

 社会調査の集計結果

(2)青森県・東京都の高校を対象とする調査(高校調査)

 調査期間:2017年7月~8月
 調査方法:東京都・青森県に立地する高等学校・中等教育学校(後期課程)に悉皆で依頼
 送付件数:522校(青森県78校、東京都444校)
 有効回答数・回答率:163校(青森県41校、東京都122校)・31.2%
      
高校調査の集計結果

(3)青森県・東京都の自治体首長を対象とするアンケート調査

 調査期間:2017 年7 月~8 月
 調査方法:東京都・青森県に立地する市区町村
 送付件数:102 市区町村(青森県62 市町村、東京都40 市区町村)
 回答数・回答率:30 市区町村(青森県17 市町村、東京都13 市町村)・31.0%

自治体調査の集計結果

(1)対象地域として「青森県」と「東京都」を選んだ理由は、2015年3月の高校卒業者の大学進学率・高校卒業後の就職率等を勘案して選定したためです。具体的には、東京都は、高校卒業者の大学等進学率が全国で最も高く(66.5%)、卒業者に占める就職者の割合が最も低く(6.8%)なっています。青森県は、大学等進学率が全国平均よりも10ポイント低く(43.7%)、卒業者に占める就職者の割合が全国で最も高く(33.0%)なっています。また、大学数及び大学生数をみると東京都は137校、75万人、青森県は10校、1.6万人です(2016年)。また、1人あたりの県民所得をみると東京都450.8万円、青森県242.6万円です(全国平均306.5万円・2013年)。このような相違がある2地点の比較を含めた検証を行うことで、学費や奨学金に対する社会意識を適切に分析することを意図しました。

 

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